「人間は努力する限り、迷うものだ」

（森本哲郎評論家）

“対局のあと、しばらくして大山名人にインタビューする機会がありました。いったい、どういう時に長考するのか聞いてきました。すると、「そりゃ、うまくいきすぎている時ですよ。だって、物事というものは、そんなにうまくいくはずがないでしょう」普通の人なら、物事がうまく運んでいる時は、その勢いに乗って突き進み、何も深く考えません。だから、思わぬ落とし穴に嵌り、失敗してしまう。ところが、大山さんは「物事というものは、うまくいくわけがない」ということを確信しているので、やたら順調に進んでいる時は、どこかに落とし穴があるに違いないと考えるのです。これは勝負に勝つ秘訣であると同時に、人生を誤らないための至言だと思い知らされました。“

「人間は努力する限り、迷うものだ」これはゲーテの言葉で、何かを成し遂げようと思った時、迷うことなく目標に達することなど決してあり得ませんから、高い目標を掲げれば掲げるほど、何かを成そうと願えば願うほど、人はあれこれ悩むものです。

逆に言えば、迷わない人間とは、何の努力もしない人間と言え、努力しなければ、迷うことさえないのです。

ゲーテは迷いこそ生きている証拠であり、迷ったあげく目標に到達するところに人間の真実がある、と確信していたのです。

私もこれを知ってから、迷うということは、それだけ真剣に努力していることの証拠だと考えたので、私は迷うことを少しも苦にしなくなりました。

そして、それと同時に迷っている時間は何も進みませんし、時間には限りがありますから、迷う時間を無くす努力をし続けています。

やってみないとわからないことはたくさんありますから、失敗を恐れず挑戦していきたいですね。

今日もよりみんなの役に立てるよう、全力で感じて動いていきましょう。

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